【エッセイ】さらば愛しのフジオロックフェスティバルうちわ

恵比寿駅から家に帰る途中にあるのが、恵比寿ガーデンプレイス。いつもは三越のジョアンというパン屋さんにだけ寄るのだが、この日はたまたまセンターコートを歩いていた。ところ、ブースで何かを配っていた。数日後に開催される「フジオロックフェスティバル」のうちわだ。


漫画家の赤塚不二夫にゆかりのあるミュージシャンを集めて、恵比寿ガーデンホールで二日間に渡って行われるとのこと。その宣伝として配布していたらしい。なぜかバカボンのパパのお面もゲット。家でとりあえず被ってみて、写真だけ撮った。という出来事が2018年の8月。


それ以来ずっとこのうちわを愛用してきた。家に扇風機がないので、風を直接我が身に届けるには、この子しかいない。もう一枚、神楽坂祭りでもらったうちわもあるが、こちらはお上品で風がちと弱い。やはりお風呂上がりの火照った体には、フジオロックフェスティバルじゃないと、頼りないのだ。


時は経って2020年7月。いつものように入浴後にクーラーをかけて、このうちわで扇いでいた。ふと見ると、クローゼットに虫が。これはいかんと思い、成敗することに。咄嗟に手が出たのが団扇ちゃん。一度目は逃げられた。まぁ良いかと思い、また寛いでいたのだが、やはり気にはなる。ということで注意深く見てみると、奥の窓の窪んだ所に発見。もう逃すまい。成敗してくれる。とかなり大きめな独り言を発し、思いっきり振りかぶった。


失敗した。全然関係ないところにぶつけた。意外と力が強かったのか。うちわの持つ部分と羽根の部分の繋ぎ目に亀裂が。これ、人なら骨折。大怪我。あららと思い、いつものように扇ごうとしたら、ヘナヘナと曲がり、もう煽げなかった。再起不能。こんな四文字が頭に浮かび、しばし途方に暮れる。


あいつだ。あいつのせいだ。心を持ち直し、きっちりと落とし前をつけることに。いた。いやがった。ふてぶてしい態度を取ってくれるじゃないの。またまた大きめの独り言を呟きながら、三度目の正直。


見事に仕留めた。今回はティッシュだったが「これはバカボンのパパの分!」と、気合いを入れたのが項を奏したのか。完全勝利。一件落着。とは言えない。貴重な戦力が失われたのだ。


これ、どうしよう?いつもの夏なら、そこらへんでうちわはもらえる。が、今年はコロナの影響で、たぶんサンプリングや配布自体が中止されると思う。ということは、うちわ無し。これはツラい。だからといって、うちわを買うのもどうも気が引ける。今まで無料でもらっていたものにお金が発生するのは何となく悔しい。とは言え、夏は迫っている。神楽坂祭りのお上品なあの子だけでは心許ない。


そういえば、以前キャンドゥに行った時、アイドルのコンサートで使うような大きなうちわが売っていたのを思い出す。文字を書いたり、何かしらペタペタと貼る為なのか。やたら大きい。色はシンプルに白とか黒。あれなら強力な風が得られそうじゃないか。そう思い、今は前向きになっている。


赤塚不二夫からアイドルって、振り幅あり過ぎ。たかだがうちわぐらいで、こんなことになるなんて、思ってもみなかった。だからコロナは怖い。関係ないか。





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