【エッセイ】自由ヶ丘が気に食わない男のブルース

どうも自由ヶ丘が気に食わない。そこまでオシャレと思わないし、大したお店も無いし、道幅が狭いのに車が多くて歩きにくい。あの街を褒めているのは田舎者だけな気がする。うん、きっとそうだ。と思いながら38年間生きてきた。


そもそも自由ヶ丘に住んでいる人は、自由ヶ丘をそこまで良いよとは言わない。単にそこに住んでいるだけで、良いも悪いもない。そういうスタンスだ。落ち着いている。


はしゃいでいるのは一部のメディアだったり田舎者だけだ。大人気の自由ヶ丘に〇〇がオープンとか、みんな大好きな街、自由ヶ丘とか、セレブ御用達の自由ヶ丘の〇〇サロンとか。よく見かけるが、根拠があやふやすぎて笑ってしまう。


数年ぶりに自由ヶ丘に行った。目黒から東急線に乗ればたった12分で着く。そんなことにも気付かないくらい、関心の薄い街。南口から出てすぐのギャラリーに絵を見に行き、たった数分で立ち去る。雨が降ってきたので目の前のブックファーストへ。そこにしばらくいて、もう用事が無くなってしまった。ほらな。言わんこっちゃない。


仕方なくぶらぶら歩いてみる。確か無印があったよな、とそちらの方へ。無印以外にも色んなお店が立ち並んでいるが、別にここで見る必要もない。無印なんて一番必要ないが、気にせず入る。暑かったのだ。ここを出て線路の向こう側へ。車の量が増える。その割に歩道が狭い。あぁ、うっとうしい。


IDEEがあったので入ってみる。特に欲しい物もなく、すぐに退散。お店が密集しているエリアに。ここもいまいちパッとしない。神社があるのでそちらへ。ここは良い。奥の稲荷神社は独特の空気感。久々にヒヤッとした。


さぁ、いよいよやることないぞ。そんな風に思いながら、亀屋万年堂の本店へ。ナボナの種類の多さに驚く。本店限定のナボナもある。だからといって欲しくはならない。パン屋へ行こう。名古屋発祥のバゲットラビットだ。初めて行ったが良さげな店内。後日談だか、ここのブールは本当に美味しかった。


パンを買って駅の方向へ。電車の高架沿いのビルの二階が凄い。「THE・昭和」といった風情。まだあるんだな、こういうところ。きっとオシャレでハイソな自由ヶ丘ピープルは、ここは隠しておきたいんだろうなと思った。


北口界隈を歩いてみる。ここは雑然としている。昔ながらの居酒屋やチェーン系のラーメン屋多数。他の街と変わらない。確か沢田研二の行きつけがこの辺だ。


昔、自由ヶ丘に住んだことのあるリリーフランキーが言っていた。この街は駅のこっち側と向こう側で人種がまるで異なる。それが混じり合うことはない。居心地が悪くなって、すぐに引っ越したと。何だか分かる気がする。


個人的には、自由ヶ丘に「住んでいる」人とは仲良くやっていけそうな気がする。問題は自由ヶ丘に「遊び」にくるタイプだ。どいつもこいつもパッとしない。そんな人間が多い。どちらかというのは、見ればすぐに分かる。人数と歩き方と声の大きさが違う。地元民は一人で歩き、普段着で颯爽と歩き、もちろん声を発さない。田舎者は大勢で群れてわいわい騒ぎ、後ろの人間の通行を妨げる。


ここまで書いてきて分かったのだが。白金台の結婚式場に週末に来るような連中とまるで同じだ。場所がどうとかではなく、こういう人間が嫌いなだけだ。つまり自由ヶ丘は悪くない。何も悪いことはしていない。ごめんよ、自由ヶ丘。たった12分で着くならご近所さんだ。機会があったらまた行くからね。


とは言えない何かが、自由ヶ丘にはある。



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